花粉症について
花粉症の鼻水は無色で粘り気のない鼻水です。典型的な方では「鼻がむずむずして急にくしゃみが連発、水の様な鼻汁が出だしたらとまらない」というようになります。
3月、4月はスギ花粉症。
5月、6月は街に生えているイネ科の雑草の花粉により花粉症を起こします。
9月、10月はブタクサをはじめとしたキク科の雑掌による花粉症が発症します。
この3シーズンが花粉症の好発時期です。
花粉症の治療について
お薬による治療
基本的には薬で症状を抑える治療が中心となりますが、常にアレルギー反応を起きにくくすることがポイントですので、花粉症の季節は治療を継続しなければなりません。内服薬や点鼻薬をうまく組み合わせることにより化学物質の働きを抑え過敏な粘膜を落ち着かせ、効果を持続させます。
花粉症をうまく乗り切るポイントは、
- 花粉が本格的に飛散する前から治療を開始する
- お薬は毎日使用し、症状の無い日も継続する
- 花粉の量に合わせてお薬を変えていくこともありますので定期的に受診していただき症状をお伝えください。
内服薬
花粉症の内服薬は眠くなるから服用したくないと思われている方がおられます。最近は眠気や集中力の低下などを引き起こさない内服薬も多くあります。また、一日一回の服用で済むお薬や、水なしで飲めるお薬もあります。運転のお仕事の方、受験生の方など患者様のご事情、ライフスタイルに合わせて内服薬を選びますので診察時に遠慮なく要望をお伝えください。
点鼻薬
薬局で鼻詰まりの際に使用する点鼻薬が販売されておりますが、連用するとかえって慢性の鼻詰まりに移行することがありますので、そのような点鼻薬の使用はお勧めしておりません。
当院では点鼻薬の療法として「鼻噴霧用ステロイド剤」を使います。ステロイドというと副作用を連想され拒否反応を示される方がおられますが、耳鼻科で使用する鼻噴霧用ステロイド剤は鼻粘膜に対して作用し、体内に薬液が吸収されると活性の低い物質に代謝されるため全身的副作用が大変少なくなっております。2歳から使用の安全性が認められている点鼻薬もあり、年齢に限らず内服薬と組み合わせて使用することでクシャミ、鼻水から鼻詰まりまで症状を抑え込むことができます。
点眼薬
目の痒みは内服薬の効果が乏しく点眼薬が必要になることがしばしばです。ステロイドの点眼薬は眼圧を測定し、緑内障に注意して処方する必要があるので当院では使用を避けております。一般には抗アレルギー点眼薬、抗ヒスタミン点眼薬を選択します。
目の痒みをうまく抑えていくコツは、まずは擦らないこと。点眼薬も予防的投与を基本としますので痒くない日でも規則正しい使用が良いでしょう。市販の点眼にはスッキリ感を出すためメンソール系の清涼剤を添加しているものもありますが、我々が処方する花粉症の点眼薬にはそのような成分を入れておりませんので、点眼時の印象で効きが悪いと感じる方もおられるようです。点眼薬は点眼後に粘膜から吸収されて効果を発現しますので、少なくとも吸収に5分はかかります。それを理解していただき、点眼後すぐに目を擦ったりせず、数分は効果の発現を待っていただくことが肝心です。
舌下免疫療法
スギ花粉、ダニアレルギー性鼻炎の方には、アレルゲン免疫療法があります。古くからある治療であり、以前は注射による治療しかなかったため治療を受けられる方は多くはありませんでしたが、近年、治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が開発され、自宅で服用できるように、また注射と違い痛みはないため5歳からの小児から治療することができます。スギ花粉症やダニアレルギーなどのアレルギー性鼻炎に対して根本的な体質改善も期待できます。
注意事項として、
- 月に1度受診が必要になります
- 毎日お薬を飲む必要があります
- 最低でも3年間の治療継続をお勧めします
- 効果が実感できるまで時間がかかる場合があります
- 効果が出ない方も2割ほどいらっしゃいます
などがあげられます。受診時にご相談いただけましたらパンフレット等ご用意し、わかりやすくご説明いたします。
ゾレア皮下注射
「鼻噴霧用ステロイド薬・内服薬による治療を受けたが効果が乏しい」といった、重度のスギ花粉症の患者様に対しては、ゾレア皮下注射をご提案しています。もともとゾレアは喘息の治療薬でした。しかし、2020年にスギ花粉症への効果も認められ、保険が適用されるようになりました。「抗IgE抗体」というアレルギー反応を抑える薬を皮下注射し、くしゃみ・鼻水などのつらい症状を緩和する効果があります。ただし、2月から4月のスギ花粉症に時期のみの投与であり、一定の診断基準に合致する方のみ保険適応となります。毎年投薬でも治らないほどの重症スギ花粉症の方は一度ご相談ください。